其の名はT・Y
びっくりしてうしろを見たら、さいしょにわたしに声をかけたわるいおじさんだったの。

「そこ…までだ、おっさん!」

なんだかいたそうなかおをしたまま、わるいおじさんはやまださんに言ったの。

わたしはぎゅーってされて、いたくてくるしかったけど、わるいおじさんがちからもちでうごけなかったの。

「一番頑丈な人に手加減しちゃったんですね私、うーん、まだまだですか…」

やまださんがそう言って、りょうてをゆっくりあげたの。ばんざーい、って。

でもね、そしたらまた、わたしの体がかるくなって、こんどはたかーくとんだの。

わたし、お空をとんだのよ!お母さん!

あしもとではさっきのわるいおじさんがあたまに「めいし」をつけてねちゃってたの。

それでね、よこをみたらやまださんがにっこりわらってたの。

わるいおじさんとちがって、すっごくやさしくだっこしてくれたのよ!

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