其の名はT・Y
しかし、日本から視察に来たという一団が度々艦内でなにかしらデータをとっていったのを見ていた私は

ああ、日本とて決して一枚岩ではないのだなと自分なりに納得をして日々を過ごしていたのだ。

そしてあの日の失踪。

いつものように視察にきたと言う一団が我が軍の人間をなんらかの理由で艦外に出した瞬間、それは起こったのだという。

我が軍において、日本と言う国は平和ボケした技術者集団という評価だった。

それ故、ガードは甘くなりこの失態を招いたのだと私は考えているが、それは今やどうでもいいことだった。

今必要なことは行く先々で次々と追っ手を退け、なおも逃走を続けるあの艦を止める、それだけである。

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