其の名はT・Y
その言葉に続くように、室内の一番大きなモニターに画像が表示された。

後でわかったことだが食堂など、モニターがある部屋全てでこの画像は見えていたのだと言う。

それはどう見ても名刺だった。

[Unlimited Worker & Ash Hound TAROU YAMADA]

そう書かれているのが眼に入った。

ふと、視線をズラすと艦長の顔が見えた。

汗を流し、目を見開き、歯の根が合わない。

どう贔屓目に見積もっても、それは恐怖の表情に間違いなかった。

「あ、アッシュ…てぃ…T・Y……」

そう呟いているのが聞こえたが、意味はわからなかった。

<<ええっと、それでですね、こちらは鎮圧完了しましたので攻撃しないでください。交戦の意思はありません>>

「何をいっているんだコイツは!」

「黙って聞けぇ!」

色めきたったクルーに、艦長が声も枯れん勢いで怒鳴りつける。

「か、艦長?」

あまりの剣幕に室内は静まり返り、そっと呟いたクルーは艦長の視線に射すくめられて固まってしまった。

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