其の名はT・Y
さっきのは横切ったオッサンが悪いが、今度は後方不注意の俺が悪い。

つい数秒前のオッサンよろしくさっさと謝るに限る。

「あー、すんません、大丈夫…げ」

いや、俺だってさ、一応常識はあるよ。謝ってるときに「げ」とか言わない程度の。

でもさ、俺の横ですっ転んでるのがもう10メートル先からみても分かるくらいの典型的なヤクザフェイスだったらさ

言っちゃうだろ、「げ」とか言っちゃうだろ、な?

で、ほら、こういう人ってさ、俺がさっき言ったじゃん。

バカだから波風立てちゃうんだよな…

「てっめ何さらしとんじゃらぁぅあ!?」

低い、沸点低いよ!お前は何千メートル級の山の山頂付近か!ポテチの袋パンパンか!

とか思ってると、その戦闘力53万のヤクーザ様の沸点とは裏腹に俺の目線が高くなったわけよ。

まあ平たく言うとアレだ、襟掴まれて持ち上げられたっつー感じ?

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