其の名はT・Y
「いやね、私も彼を転ばせてしまったんですよ、でも彼は穏便に済ませてくれた」

「え、えっと」

「そんな彼がぶつかったあなた達がよってたかってというのは感心しませんし」

「あの…」

「まあそもそも彼があなた達にぶつかったのも元を正せば私の」

「あのー」

「せいで…はい?」

そのオッサンはやっと俺の方を振り向いてくれた。

「多分、聞こえてないッス」

「あー、やっぱりそうですか…」

そう言って頭をかくオッサンの後ろには、折り重なった三人の大男がノビてたんだよ。

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