其の名はT・Y
「失礼しました、それでは私はこれで」

拍手なんかし始めた野次馬をすり抜けるように歩く彼を俺は追ったさ、そりゃもう必死に。

でも、なかなか追いつけないんだよな。相手はどう見ても歩いてるんだぞ?俺は全力疾走だったんだぞ?

そんで、一つ角を曲がって人通りの少ない通りに出たら、見失っちまったんだよ。

いや、見失っただけでさ、実際はいたんだよ、そのオッサン。

俺の背後に。

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