それでも君が好きだから
沙羅は泣いていた。

酷い格好で、泣いていた。

そしてカクンと意識がとんだ。

「てめぇら…!!」

「蓮。遅かったね」

「ふざけんなよ柚子!お前…!!」

「ふふっ、怒らないでよ。蓮は可愛いね」

「んだと!!?」

こいつ、マジむかつく…。

「それにしても、危なかったね。もう少しで沙羅、大人の階段上っちゃうとこだったよ」

「…!!!お前、一発殴らせろ!」

「やーだっ☆」

「…っ」

「アンタ達!」

柚子はさっきからうろついてた男どもに声をかける。

「「おう!!」」

「もういいわ。帰んな」

「あのぉ~…報酬は…?」

「は?失敗したんだからそんなの無いわよ!」

「「えぇ~?」」

「いいからとっとと散れ!目障り!」

「「…」」

「柚子…お前が散れ」

「え?」

「俺の怒りは止まんねぇぞ」

「分かったわよ。今回だけね」

逃げるように去って行く柚子。

やっと行ったか。

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