それでも君が好きだから
「お母さん、一方の記憶を思い出せば、もう一方の記憶も思い出します」

「…」

お母さんは複雑な顔をしてた。

私は蓮も桐谷も知らないし、男恐怖症でもない。

何?私はイライラしてきた。

「沙羅、あなたは…ううん、何でもないわ」

「…お腹すいたぁー」

「はいはい」

それからのお母さんは普通だった。

だから私も気にしない事にした。

入院生活~5日目~

「あ~~暇」

「ねぇねぇ沙羅チャン、俺もうすぐ退院するんだ」

「えぇ!?龍クン退院するのぉー?いいなぁ~」

「エヘヘ。お見舞いにきてやるよ」

「何か食べ物、持ってきてね」

「……分かった」

「何その間ぁ~」

「アハハハ」

楽しいな。龍クンは優しいから。
私も早く退院したいなぁ~~。

そういえば私、記憶障害あるんだっけ。

何を忘れてるんだろう。

気になるな。

…男??

私、男が「沙羅!」

「…龍?」

「俺、沙羅の事…好き」

「え…」

その瞬間、唇が重なる。

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