それでも君が好きだから
病院に着く。

急いでナースステーションへ。

「…っあの!!」

「どうかしました?」

「えっと…っ沙羅!あ、じゃなくて…」

俺は気が動転していて上手く喋れなかった。

「落ち着いて下さい。面会ですか?」

「えっと…ハイ、宮森沙羅さんは何号室ですか?」

「宮森沙羅さんですね?少々お待ち下さい」

「すいません…」

優しい看護婦さんで良かった。
俺はそわそわしながら待った。

「209号室です」

「209…ってどこですか?」

「そこの廊下の突き当たりを、右に曲がって下さい」

「分かりました。ありがとうございます」

「いえ」

俺は病院内では流石に走らなかったがとにかく急いだ。

「209…209」

あった!

俺は不安と緊張を胸に抱えてドアに手をかける。

でも、開けようとしたその手は違う手に掴まれた。

「え…?」


「蓮クン?」

目の前には…女の人。

恐らく…沙羅のお母さん。

「沙羅にっ…会わせて下さい」

俺はとにかく沙羅に会いたかった。

しかし、お母さんはそれを許さなかった。

首を横に振る。

「何で!!?」

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