それでも君が好きだから
訳が分からない。

俺は沙羅の恋人だ。

何で会えない!?

「蓮クン…場所を、変えましょうか?」

怒りが爆発しそうになったが、俺は大人しく従った。

~屋上~

「沙羅は元気よ」

「そうっすか…」

「だけど、沙羅には会わないでほしいの」

「どうしてですか?」

俺は明後日の方向を見ていった。

「…」

お母さんはためらってる。

「何でですか!!?」

周りがこっちを見るくらい大きな声を出した。

だってこんなのおかしい!

こんなに沙羅を求めてるのにっ…。

何でだよ…!!

「沙羅はあなたの事!…っ覚えてないのよ!!」

「………は?」

「忘れてしまったの…あなたの事」

「な、に…言ってるん、ですか?」

俺は耳を疑った。

沙羅が俺を忘れた?

「沙羅は嫌な記憶と…、嫌な記憶だけ忘れたの。桐谷クンとの過去も…」

このとき、沙羅のお母さんが嘘をついていたことは、俺は知らない。

「嫌な記憶って…俺の事ですか!?」

「分からないわよ!でも…そうとしか考えられないじゃない!!」

沙羅は俺が嫌いだったのか?

…嫌い?

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