それでも君が好きだから
★蓮★

俺は沙羅の病室の前にいた。

中には、沙羅とお母さんが喋ってる。

俺は決めた。





あいつから、離れる。





それが、あいつの幸せなら…。

俺が我慢すれば良いなら…。

沙羅、俺はお前が好きだ。

世界で一番、一生の中で一番…好きだ、愛してる。

だから、離れる。

冷たい何かが頬を流れる。

こんなにも好きだった。

俺は走って病院を出る。

外に出てただ走る。


「っ…!」

止めどなく涙が出てきた。

あいつの為なら何でもしてやれる…そう思ってた。

だけど、あいつの為にあいつから離れる事が俺には出来ない。

胸が苦しい。

愛しい。

抱き締めたい。

でも、叶わぬ俺の願い。

だったら最後ぐらい…笑ってやる。

さようなら。

大好きな人…。

「さようなら」

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