それでも君が好きだから
私、騙されてたんだ。
桐谷に…馬鹿みたい。
勝手に好きになって、騙されて…。
親の信頼も、お金も、友達も、全部失った。
でも、私にだってプライドがある。
男に捨てられて惨めに泣きすがる女なんて、みっともないでしょ?
だから、このまま黙って別れてあげる。
「分かった、今までありがとう。海塚君」
私は走ってその場を去った。
涙が誰にもばれない様に。
「ふっ……うぅ…っ」
駄目、泣いちゃ駄目…!
私は学校を休み続けた。
これ程の屈辱と悲しみ、耐えられる訳がなかった。
でも、私は知らなかった。
これ以上恐ろしい現実が待ってるだなんて…。