それでも君が好きだから
甘い声を出し、俺を見つめる。

…まったく惹かれない、つーか重い。

「呼び捨てすんな、退け。…っ!!?」

そう言った途端あいつは俺にキスをした。

「蓮、好き…」

「俺は好きじゃない」

「ひどいよぅ…こんなに想ってるのに…」

「悪い、諦めてくれないか?」

俺には心に決めた奴がいるんだ。

「…っごめんなさい」

やっと我に返ったか。

「もういいから、退いて」

「あ…はい」

すっかり大人しくなった美月。

「でも、好きになってくれて…さんきゅな」

優しくそう言うとあいつは泣き出した。

そして、走って行ってしまった。

「ふぅ…」

溜め息をつき周りを見渡す。

そこには…。

「―――沙羅!!?」
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