それでも君が好きだから
その後、女が消えた。

蓮はまだ私に気付いてない。

2人のキスが忘れられない。

私は男にキスされたらきっと失神する。

でも、蓮がキスしてるのを見て…。

気持ち悪いんじゃない。

羨ましい、あの唇に触れたい。

そう思ってしまう。

涙が出る。

声を殺していたつもりだったのに…。


「―――沙羅!?」

バレてしまった。

でも、もう…。

「エ、ヘヘ。ごめん、たまたま見ちゃって」

必死で涙をこらえる。

「見てたのか、全部」

「ラ…ラブラブだったじゃん。彼女?」

「そう見えた?」

蓮の声が冷たい。

背筋が凍るように冷たい。


「見えた…ってキスしてたらそりゃ見えるよ」

「…あっそ」

…何それ。
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