ヤンデレ双子に愛されて
席を立つ
見限った男は捨てるしかない
別れる奴に興味はなく、もう顔すらも見ないときめたのに
「ただいま、兄さん」
「――――」
全神経が死んだ瞬間
呼吸や、血の巡りが死に絶え
意識が真っ白になったような錯覚
悲鳴をあげたくなるほどの驚嘆が目の前にいて
「おかえり、右桜」
もう見たくないと思った顔が私を横切り、出迎えをしていた
「ああ、やっぱり部屋は温かいな。外、雪降ってきたよ」
「ああ、本当だ。気づかなかった」
「雪の降り始めは案外分かりにくいからね。――というか、香我美に夢中で気づかなかったんじゃないの?」