ヤンデレ双子に愛されて
後日談
(一)
その殺人が露見したのは、ある苦情からだった
『異臭がする』
近隣住民からの苦情に、管理者と責任者の責務を持つマンションのオーナーは早速、問題の部屋に向かった
普段なら電話程度で済ますことだが、生憎と繋がらず
ここしばらく、その部屋の住人とも会わず終いでの最終手段であった
それが惨劇の露見
部屋に入ったオーナーが見たのは、赤い部屋だった
「――で、被害者は誰か分かるのかい?」
惨劇部屋の現場検証に立ち会う彼は、壁際――殺害が行われたであろう血塗られた一画を見ながら聞いた
聞かれた若い男はすかさず手帳を出し、ことの旨を話す
「被害者は恐らく、菊池香我美、十九歳。市内の大学に通う生徒なんですが。今のところ、この線で検討中です」
「へえ、もう被害者が分かったのか」