彼女の恋人

１、靴の数は三つ

この話は俺、早川啓（はやかわけい）の日常（主に彼女との）を綴ったものだ





「よっと…」

彼女のアパートの駐車場で買い物袋をもって彼女の部屋を見上げる。入ってるのは食材ばかり、これは昨日彼女に買ってくるように頼まれたものだ

「あ、啓？明日家に来る前にスーパーで食べ物買ってきて」

「別に良いけど、何買っていく？」

「何でも良いよ、お願いね」


そこまで言って電話は切られた。いつもの事ながら言いたいことを言ったらすぐに切る、それが彼女なのだ。一度なんでそんなにすぐに切るのかときいたら

「だって電話は用件を伝える為のものでしょ？」


そう断言されて返す言葉は無かった。まぁ、俺の彼女はこんな感じでマイペースな奴だ。それでも別れないのは俺が彼女にベタ惚れだからだろう

そんなことを考えてる間に彼女の部屋の前につく。表札には木村梓（きむらあずさ）の文字、間違いなく彼女の部屋だ。ポケットから合い鍵を取り出し部屋の中に入る