恋愛成長記
そもそも女子校には虐めなんかないと思っていた。
だって小学生の頃は、虐め役は専ら男子だったし、それを止めるのは女子の役目だったはずだ。けれど、それは先入観に過ぎない。その事実を私はこの3年間で痛いほどに学んだ。
女という生き物は、実に自分に素直な生き物である。
男(=恋愛対象)が居れば、ニコニコと笑顔を振りまくくせに、いないとなれば、先程の笑顔は何処へやら。・・・・姿は豹変。女は魔性とは良く言ったものだ。
つまり、女は男が居るから虐めはしない。するとしても目立った所ではしない。
そう考えると女子校は男と言うストッパーが居ない訳だから、私のような人間からすれば地獄のような空間である。

ガコンッ

「あー、ごめんねぇ佐倉さん。居たんだぁ?気付かなかったぁ」
「仕方ないって。だってジミ子の席だもん」
「ていうかー、ほんっと存在感ないよねぇ、あんた」

・・・・存在感無いと思うなら、話しかけるな。
そんな事を思いながら、思いの他強く蹴られた机を元に戻すと、無言で窓の外に視線をやる。

「・・・シカトかよ」
「マジうざいんですけど。何様ぁ?」
「死ねよ、ばーか」

良く耐えたほうだと思う。
高い学費を払ってもらっているのは判っていたけれど、私は進学するに当たって都内の都立高校に通いたいと親に懇願した。
これ以上、あんな空間に居たくない。
3年間、良く耐えたよ。自分に乾杯だ。
私の訴えから何かを感じ取ったのか、渋々ながらも両親の承諾を得る。
選択した都立高校は、勿論共学だ。
もう、ストッパーの居ない学校なんかこりごりだ。



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