HEAVEN
香りとナイフ。
「聞いた?まりが辞めるって話」
「聞いた聞いた。
りさの件で精神的にやられちゃったんでしょう」
「あんな今まで無断欠勤繰り返して
よく辞めるだなんて言えるわね」
「し…来たわよ」
今日は私の最後の出勤の日。
ロッカーは相変わらずの盛況ぶりだ。
「すいません…ちょっと通して頂けます?」
ロッカー間は
人が一人通り過ぎれるくらいの狭さ、
私のロッカーまでは五人も過ぎなければならない。
「まり…あんた辞めるんだってね」
「え…ああ…はい」
私は頭をへこへこしながら
ゆっくりと足を進める。
「聞いた話じゃ…りささんの自殺する直前まで…一緒にいたとか」