HEAVEN
怒声はロッカーの後ろから響いた。
「りえさん…」
私は思わず呟く。
「そいつをからかうのはいつもの事にしたって度が過ぎるよ…
りさはそいつを可愛がってたし
まりだって慕ってたんだ。
それをあんたらは…」
「い…いやあの違うんですよぉ
まりから私達にけんかを売ってきたから
つい…」
「そうそう…あ!さホール出ましょホール!」
彼女たちがせわしなく私を過ぎていく中で、なにとなく りえさんの権力が落ちているように思った。
彼女たちが通り過ぎる時、舌打ちと一緒に「うるせーばばあだ」と、
笑っていたから―。
「…あんたも…その物騒なのしまいな」
ポケットの中でかちゃりと音をたてるこいつ。
「わかりました?でも本気でやるつもりなんかなかったですよぉ」
私はくすくす笑うけれど
相変わらずりえさんは怖い顔だ。