HEAVEN
「…この店の裏でちんまり売られていたんでね…もし悪夢から解放されなかったら…
こいつに天国に逝かせて欲しいと思いまして」
かちゃり とまた金属音はポケットにこだまする。
「こんな汚いとこにいたら悪夢なんて
終わる訳はないだろう。見なよ」
ロッカー室を過ぎて、裏からホールが
僅かに見える。
AさんBさんEさんも綺麗にしていて
ニコニコお酌をするのも様になる。
「あんな奴らが
ナンバー入りしてんだよ。
人を貶すわなめるわで、
大学に行きながらのお小遣い稼ぎのつもりらしいがね」
「大学…」
私はぽつりと呟いた。
高校をやっと出れたくらいの私には
無縁の単語である。
「あんた…金はあるの?」
りえさんは静かに聞くが、
顔はやっぱり発情期の―。
「ぐえっ」
「声に出てんだよまり…全く…あんたって子は…」