<実話>それでもずっと、大好き。
ねぇ笠原。
この頃だったかな。
親のケンカが多くなったのは。
新しい父親はね、
拓也だけじゃなくて、お母さんやまだ小さい涼にまで、手を出すようになったの。
ずっと女の子だからって、手を出さないでいた私にまで…………。
そしてこの頃だったかな。
弟たちをケンカに巻き込まないように私の部屋に隠れさせて、
こっそり私だけ、リビングに様子を見に行ったの。
そしたらね、
お母さん、裸なんだよ。
泣いて、叫んでるの。
この頃の私には、
何が起きてるのかわからなかった。
だけど間違いなく。
私の心にくっきりと、
傷がついたんだ――……。