<実話>それでもずっと、大好き。




 その計算高さが、私は苦手だった。

こいつ将来、どんな魔性の女になるんだよと思って仕方がなかった。


この年から自分の見た目や性格をこんなにうまく利用出来る女なんて、今まで見たことない。

だから苦手だった。

もう苦手というより、嫌いに値する人物だった。




 「ちょっと未来ちゃん!そこ違うってさっきから言ってるよね?なんで出来ないかなぁ」


ダンスの練習中、あゆみはわざと大声で、人を馬鹿にした笑顔で言う。


確かに私は、覚える事は出来てもそれをうまく活かせない。

頭でわかっていても、体がついてこないのだ。


『…ごめん、もう1回頑張るから』

下を向きながらあゆみにそう告げると、見てはいないが、勝ち誇った顔をしているあゆみが容易に想像出来た。


 午前グループの6人だけで空き教室で練習しているので、笠原に見られていないのがせめてもの救いだ。


こんなみじめな姿、笠原には見せたくない。



なぜだか、そう思った。




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