<実話>それでもずっと、大好き。




 ダンスの練習もなかなかスムーズになってきた頃、それは起こった。



 「笠原!お前どうして真面目に練習しないんだ?そんないい加減なヤツじゃないだろう!」

「……………」


いつもの空き教室での練習を終えて教室に戻ると、

午後グループの6人と担任が、何やら騒がしかった。


厳しくて怒りっぽい担任に説教されていたのは、笠原だった。


笠原は普段お調子者な感じだが、授業など、やるべき事はしっかりとこなす。


その笠原が、真面目に練習しない?


そんなこと初めてじゃないのか。


驚きながら笠原を見ていると、ふと目が合ってしまった。

そらすわけにもいかないので見ていると、笠原は何かを訴えかけるように、真っ直ぐ見つめてきた。


何秒かしてそらされたが、私の心臓が早い事に気づく。


いつもの笠原らしくない。
どうしたんだろう。



そして笠原は、
心を入れ替えるためという理由で、午後グループから午前グループに移動する事が決まった。




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