<実話>それでもずっと、大好き。
「未来ちゃん、拓也」
いつも通り下校しようと校門を出ると、見覚えのある車があった。
そして聞き覚えのある声がした方を見ると、母親にストーカーしている保坂さんが、嫌な笑顔で立っていた。
『…あ…』
私は思わず震えながら、拓也を後ろに行かせる。
「ちょっと話がしたいんだけど、車に乗ってくれるかな」
『…え、でも…』
「……早く乗れよ」
まるで笑顔の仮面を外したかのように、怖い顔つきになった。
この時、勇気を出して学校の中に戻ればよかった。
走って戻れば、ヤツは中には入れないのに。
だけど小6の私ではそれが出来なかった。
怖かったのだ。
ここで逃げても、また来るだろう。
それが怖かった。
気づいたら引っ張られて、私と拓也は車の中に引きずり込まれていた。
そしてどこへ向かうのかと思ったら、着いた先はレストランだった。