<実話>それでもずっと、大好き。
放課後になった。
『ねぇ笠原、いい物って何?』
「見てからのお楽しみに決まってんだろー?こっち来いよ!」
いたずらっ子のように私をロッカーへ呼ぶ。
この教室のロッカーは、廊下と教室の間に、ちょうど廊下と同じくらいの細さであって、
中廊下と呼ばれていた。
だんだん人が帰っていく中、中廊下でこっそりカバンを持ってくると、
「ほら!お前もカバン開けろよ!人に見られたらマズイから」
『う、うん。こう?』
カバンの口を開けたとたん、笠原は自分のカバンから素早く、私のカバンに何かを入れた。
『え、何……あ!!』
「騒ぐなよ!何かと思われるだろ?」
『あ、ごめん;でもこれ…っ』
それは、あの大好きなアニメのゲームだった。
毎週かかさず見て、下敷きを買っちゃうほどそのアニメが好きだった私にとっては、最高に嬉しいもの。
「この前買ったんだ♪もう結構やったから、特別に貸してやるよ!」
『いいの!?ありがとう!!』