<実話>それでもずっと、大好き。





 「けど、捨てたんだろ?チョコ!昨日捨てるって言ってたもんなー」


「…ああ、まぁな」


「ひっでぇ事すんなお前!って事で、保坂残念賞~」


そう言って笑い飛ばす男子たち。


 ひどい事をしてるのは、こいつらじゃないのか?

人を笑いものにする方が、よっぽどひどい。



 だけど…



笠原は、本当にチョコを捨てたのだろうか…。



「ほら、笠原もなんか言えよー」

男子につつかれ、笠原は私から顔をそらして言った。



「……チョコなんて、いらねーに決まってんだろ!勝手に鞄に入れるなよな!」



『………!!』








 そのあとの事は、あまり覚えていない。




男子の耳障りな笑い声だけは、はっきり覚えているのに。




笠原の顔が、思い出せない。





それはきっと、

あの瞬間から私は、笠原を見ることをやめたからだ。





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