<実話>それでもずっと、大好き。
それから時は過ぎ、いつしかその話は徐々に忘れ去られていた。
あっという間に卒業間近になっていた。
この日は卒業前の記念か何かで、理科の授業で1人ずつ、小さなペンギン型ロボットを造っていた。
けれど私はこういう細かい作業が苦手で、みんなが先生の手順通りに進めていく中、私だけ2テンポくらい遅れていた。
『えーもうそんなに進んじゃったの!?わかんないよこんなのー!!』
「おまえホントに不器用だな…」
隣の席のおとなしい男子に教えてもらっていたが、呆れられる始末。
(ああもうどうしよう…っ)
「…………保坂」
どうしようか困って机に突っ伏していたら、
突然頭上から声が降ってきた。
顔をあげると、前には笠原が立っていた。
『……かさ…はら…』
すごく久しぶりに目を合わせた気がする。
あのバレンタイン以来、私は笠原を避けていたのだ。