<実話>それでもずっと、大好き。





 それから時は過ぎ、いつしかその話は徐々に忘れ去られていた。


 あっという間に卒業間近になっていた。



この日は卒業前の記念か何かで、理科の授業で1人ずつ、小さなペンギン型ロボットを造っていた。



 けれど私はこういう細かい作業が苦手で、みんなが先生の手順通りに進めていく中、私だけ2テンポくらい遅れていた。



 『えーもうそんなに進んじゃったの!?わかんないよこんなのー!!』

「おまえホントに不器用だな…」


隣の席のおとなしい男子に教えてもらっていたが、呆れられる始末。



 (ああもうどうしよう…っ)


 「…………保坂」




どうしようか困って机に突っ伏していたら、
突然頭上から声が降ってきた。





顔をあげると、前には笠原が立っていた。







 『……かさ…はら…』




すごく久しぶりに目を合わせた気がする。


あのバレンタイン以来、私は笠原を避けていたのだ。





< 37 / 75 >

この作品をシェア

pagetop