<実話>それでもずっと、大好き。
『………何?』
つい、冷たく聞いてしまう。
「……手伝ってやるよ、それ」
『え……』
「お前不器用だからな、1人じゃこの時間に終わらないだろ」
『…そうだけど…』
笠原はボロボロになった私のロボットを手に取り、スムーズに直していく。
原型がわからなかったそれは、みるみるうちにペンギンに見えてくる。
笠原は昔から器用だった。
こういう工作的なものが得意だったなと、ぼんやり思い出していた。
「…ほら、ここからならお前でも出来るだろ」
『あ、うん…ありがとう』
そう言って自分の席に戻っていく笠原。
渡されたロボットを見ると、もうあとはネジをしめて、目のシールを貼るだけだった。
プラスチックで冷たいはずのそのロボットには、
微かに、笠原の手の温もりが残っていた。