<実話>それでもずっと、大好き。
いよいよ卒業式。
あれ以来笠原とは、全然話していなかった。
来てほしかったけど、来てほしくなかった。
そんな卒業の日が、ついにやってきてしまった。
中学に着ていく地味な制服を着ている私とは違って、
笠原は青いYシャツに白いセーター、黒いズボンというオシャレな格好だった。
笠原によく似合っていて、今まで以上にかっこよく見えた。
式は無事に終わり、最後にみんなで写真を撮った。
私は別れを惜しむ友達などいなかったし、早く嫌いな奴らと別れたかったので、終わるなり早々と母親と帰った。
笠原にも、何も言わずに。
母親と共に学校を出る時、1度だけ、振り返った。
その時笠原と、目が合った。
何秒間か見つめあっていたが、母親に促され私からそらした。
それが、
私と笠原の、小学校での最後だった。