<実話>それでもずっと、大好き。





 母もきっと疲れたんだろうと、小さい頭で思っていた。


母だってまだ恋愛出来る若さと見た目を持っていて、
それを、私たちを育てるだけの人生にしたくなかったのだろう。


何人もの男と再婚したり離婚したり、痛いめみたり悲しい思いをしたり…

母は自由になりたかったんだと思う。



だから許した。

私たちを置いて、彼氏の家に住み始める事を。


ただ1つ、弟たちの事に関しては許せない。


私はまだいい。
中2だし、長女なのだから。


だけど拓也は小6、涼は小1。


しかも拓也は保坂さんによる暴力のせいで、解放された今ではすっかりひねくれてしまっていた。

いわゆる、グレてしまったのだ。

小6のくせに夜遊びをしては年上とつるんだり、学校を抜け出したり…。

暴力的な性格になってしまい、私でも手をつけられる状態じゃなかった。


 涼だって、父親の愛情を充分に受けられずに育って、しかもまだ小1だ。

出来るだけ私がそばにいて、寂しい思いをさせないように頑張っていたが、

本来なら母親が、1番そばにいなきゃいけない時期ではないのか?



 それなのに母は、
ごくたまに帰ってきては、金銭面の面倒だけを見るだけだった。

確かに拓也の事では悩み、涼の事を可愛がっていた。

けれどそれだけじゃ駄目だと思う。

1番大切なことが欠けている気がする。




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