<実話>それでもずっと、大好き。
『…ふ、藤井!』
「お、よう!」
『これ、このノートにメッセージ書いてほしいんだけどっ!』
「おう、じゃあお前もこれに書いといて」
そう言って私はノートを渡し、藤井からアルバムを受け取って、お互いメッセージを書き込む。
(んー…なんて書こう…一緒にいて楽しかったよ…とか?)
誰に見られてもいいように無難だけど、特別感が出るようなメッセージを書いた。
「はいよ、書けたか?」
『あ、うん!ありがとう!えっと…』
返してもらったノートを見ると、何語かわからない文字が書かれていた。
『ちょっと藤井!何これ何語!?;』
「フランス語!」
『絶対嘘でしょ!もー!;』
「まぁ気にすんなよ!じゃあな!」
『…うん!ばいばい!』
そうして藤井は帰っていった。
私は…最後まで好きと言わなかった。
言わない道を選んだ。
なぜかもう、言わない方がいいと思ったから。