<実話>それでもずっと、大好き。




 『…あれ…』


再びノートに目をやると、そのフランス語らしい文字の下に、まだ何か書いてあった。


 “頑張って生きろ”


そう荒々しくも力強く書かれていた。


『…もう、なんでこんなこと…』


最後までミステリアスな藤井に、笑いがこみあげてきたと同時に、
寂しさもこみあげてきた。



何も言えなかったけど、本当に楽しかった。


笠原の時のように後悔だけが残ったわけじゃない。


意味はないかもしれないけど、最後にこんな素敵な言葉がもらえた。


それだけで、清々しいほど胸は嬉しさでいっぱいだった。




『…ありがとう、藤井…』










 これで中学生活と共に、
藤井智也への恋は、終わりを告げた。





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