<実話>それでもずっと、大好き。
*高1*2度目の再会
*もう1つのはじまり*
『…笠原…哲……』
「え?誰?」
まさかね、
また会えるなんて思わなかったの。
2度目の偶然なんてありえないって思ってた。
だけどあなたはまた、私の前に現れたね。
これは、高校の前期試験の時。
遠巻きに笠原を見つけた。
その姿は成長していたけれど、屈託のない笑顔を見て、すぐわかった。
一瞬目が合ったけれど、距離が遠かったし、人に紛れて見えなくなってしまった。
どうしたらいいのかわからなかった私は、とりあえず一緒にいた未和に説明した。
『…前に話した、小6の時の最悪なバレンタイン事件の人…』
「えー!?あの、保育園から一緒だったって人!?」
『そう……でもお互い、まだ受かるかわかんないからねっ!』
私は戸惑いを笑って誤魔化した。
笠原のことは、未和たち3人には話していた。
バレンタインの最悪な思い出として。
それほど、あなたの存在は私の中から消えなかったんだよ。
まさか同じ高校に受かって、入学式で再び会えるなんて、思わなかった。
まさか、こんなに特別な存在になるなんて思わなかったんだ。