<実話>それでもずっと、大好き。
(…!!)
私が見ていたら、笠原と目が合ってしまった。
これでは試験の時と同じだ。
「未来?どうかした?」
『あ、なんでもない!』
一緒にいた良華に話しかけられ、振り向く。
ずっと後ろを見ていては明らかに不審に思うだろう。
背中に笠原の視線を感じながら、良華に笑って誤魔化す。
「そ?てか出席番号順に座るんだってさー。未来、あの2人に囲まれるんだね♪」
「…うう…」
あの2人、とは。
私はもう保坂未来ではなく、飯塚未来になっていたので、出席番号は4番。
そして3番と5番が両方とも男子で、しかもいかにも年上。
3番はガタイが良く、話しかけんなオーラを出している、近づきがたい人。
5番はスーツを着崩していて、アクセサリーから髪型から何まで、まるでホストのような人。
こんな2人に私は挟まれる。
怖くて不安だった。
『良華ちゃんはいいなー!両隣、兄さんと女の子だもんね』
兄さんとは、教室で良華が話しかけて仲良くなった、笠井大樹(かさい たいき)。
クラスの最年長なので、兄さんというあだ名がついた。
「まぁねー。でもそんなに気負わなくても、すぐ終わるだろうから大丈夫でしょ!」
そんな良華の言う通り、両隣に緊張していたら、あっという間に式は終わった。