<実話>それでもずっと、大好き。




 『…はあ…緊張した…』

「大丈夫ー?そんなんじゃこれからもたないぞ!あ、私トイレ行ってくるね」

『うん!』


さすがは年上。
性格もあるだろうけど、余裕がある。




 (…………あ)


1人で教室に向かうと、
教室前に飾ってあるガラスケースの前に、笠原が立っていた。

近くに友達らしき人たちがいるものの、笠原は1人たそがれていた。



 (…ど、どうしよう。もう2回も目が合ってるし、私に気づいてるよね?話しかけた方がいいかな…でも…)


笠原が、いざ目の前にいる。

急に冷や汗が出そうになるほど、私は緊張に包まれた。



 思えば3年前の小6の卒業式では、一言も話さずに別れた。


バレンタインがあってから私は笠原を避けていたので、話したのは数えるほど。




 弱虫で無口で、女子に嫌われていて一人ぼっちだった私。

そんな私が中学では楽しく過ごせて、明るく強くなれたのは、笠原のおかげ。

笠原との時間があったから、笠原がそばにいてくれたから、

私は変われた。




 そんな、大好きだった笠原が。



偶然にも同じ高校を受験して、お互い合格して、


こうして、2度目の再会を果たそうとしている。


私は嬉しいのか嫌なのかわからない複雑な気持ちで、笠原に近づいた。




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