レヴィオルストーリー3
7.幸せの時間
サラサラサラ…
ペンの滑らかに走る音が静かな部屋に響く。
自分の執務室でひたすら仕事に集中していたレイは、突如ペンの音に混じった靴音を聞いて顔を上げた。
「帰って来たかしら」
呟き立ち上がって扉を少し開け、ひょこりと顔を出し廊下を見渡す。
目的の人物はやはりそこにいた。
「やっぱり。おかえりなさい」
「あ、ただいま」
声をかけると自分に気付き、相手は柔らかく微笑んでくれる。
ちょうど隣の勇者の執務室に入るところだったアレンは、一旦それをやめてレイのもとへ来た。
――…即位二年の記念式典から、もう一ヶ月が経とうとしている。
二人の関係の発展は、未だにないまま。
「あら、ご機嫌そうね。視察だったんでしょう?」
「あぁ、うん。カルアシティ」
「珍しいのね。何かあったの?」
レイは首を傾げてアレンを見上げ、彼がご機嫌なのが嬉しいのかふふっと小さく笑った。
アレンは頷くと彼女に向けて自分も微かに笑う。