レヴィオルストーリー3
「ありがとう、アレン」
彼の返事に満足したのか、レイはそれだけ言うと自分も仕事に取りかかった。
歌でも歌ってしまいたくなるくらい舞い上がる気分を抑え、真剣に執務に打ち込む。
…そうしながらも、レイはずっと考えていた。
リシェラルク皇国の神域沿いにある湖――ミレアニア湖。
そこは女の子達の間ではかなり有名な恋愛スポット。
そこでキスをするとその二人は永遠に結ばれるという、かなりありがちな名所なのだ。
ありがち、だけどやっぱりそういうことが気になるお年頃。
すっかりその一人なレイは、いつもにも増して幸せそうな笑顔を見せた。
レヴィオルでの外デートはなくなってしまったけれど。
そこに行けるのなら、皇国に行って損をしなかったと言える。
正直最初の予定ではアレンとレイはあまり二人きりになれず、彼女は少し不満に思っていたのだ。
いつもは夜に一緒にいれるが、ルルアンの家では夜は子供たちがアレンやレイを占領してしまう。
(ふふっ…楽しみ♪)
笑顔満開で紙を見ながら、レイはかなりの上機嫌でペンを走らせた。
その浮かれように苦笑しながらもアレンもご機嫌。
そんな、ささやかな幸せの時間。
それがずっと続くと、レイはそう思っていた。
そう、このときは――…