レヴィオルストーリー3
「…行ってません。それが決まりですから。
どうしてそんなことを訊くんですか?」
怪訝そうな顔のまま、アレンは教皇を見つめ問い返した。
目の前の女性は安心したようにほっと一息つきながら、いつもの笑みを消し真顔になって呟く。
「実は…一週間くらい前に、ラレスカの傍を通ったのです。
ぼんやりそこを眺めていたのだけれど…あることに気がついて…」
困惑顔で自信なさげに小さく言うサリルナ教皇。
頷いて無言で先を促し、アレンはその話を聞き逃さないように耳をそばだてた。
そんな真剣な青年に教皇も今一度背筋を伸ばす。
「…近くまで行って見てみると、ラレスカの入口には短剣が落ちていましたわ。
あそこは入ろうとすると私がかけた防衛魔法が働き、その者を妨害する。
きっと誰かが入ろうとして追い出されたんだろうと思うのだけれど…」
そこまで言ってから溜め息をつき、「これがその短剣ですわ」と教皇はそれを差し出した。
受け取って調べたアレンは驚愕する。
――…レヴィオル製だ。
レヴィオルで作られた武器はほとんど外には輸出されない。
レヴィオル国民が、ラレスカに行ったということなのか。