レヴィオルストーリー3
「……ふぅ」
役目を終えた魔方陣を消したアレンは、溜め息をつくと再び足を進めた。
「……?」
――…しかし、また立ち止まる。
立ち止まる、そうした瞬間に、周りの茂みが一斉に動き、何かがアレンに向け投げられた。
高く跳んだ勇者は難なくかわし、一本の樹の太い枝に着地する。
「………矛…」
さっきまで自分がいた地面に刺さったそれを見て、アレンは思いきり不快そうに眉根を寄せた。
ぞろぞろと茂みから“彼ら”が出てくる。
更にはその後ろの、木陰からも。
きっと樹の上にもいるのだろう。
自分を見上げる集団を逆に見下ろし、アレンは溜め息をつくと声をかけた。
「…悪魔が俺に何の用だ」
“彼ら”――それは悪魔。
悪魔らはアレンの問いに返事をしない。
ただギラついた目で地面から矛を抜き、それをまた青年に向けるだけ。
「…何なんだ。大体俺、魔法かけたよな?」
戦闘しにくいであろう樹から降り、アレンは剣を抜いた。
確かにさっき全員を金縛りのように動けなくさせた筈なのに、結局はみんな動いている。
「…もしかして、失敗?」
勇者が地味に傷付きながら呟き、それと同時に悪魔が動き出した。