レヴィオルストーリー3
「自分のことは自分でカタつけやがれ」
青年はそう言いながら負った傷の確認をし、それが浅いことに安堵する。
これならあの男一人どうってことない。
しかし問題はその後だ。
これはあのゲインとかいうのと戦って余計な体力を消費する前に、移動魔法をした方がいい気がする。
じゃないとまた大勢と張り合う羽目になるし、何よりレイとの約束があるのだ。
タイムロスはあまりしたくない。
「…あと10秒」
タイミングを見計らうアレンを他所に、ディルネが何やら言い出した。
それを聞いたゲインは更に笑みを深くする。
…まだ、向かって来る気配はない。
「……10秒…?」
何のことかわからず、アレンは首を傾げた。
しかしこれは好機だ。
ディルネが「5秒」と呟いたところで、アレンは魔方陣を足元に広げる。
「! 逃げる気だ!!」
ゲインが慌てて叫び、アレンの周りを囲む悪魔に混じって青年に襲い掛かった。
「3…」
金色の光が強さを増す。
「2…」
「《移動魔法》」
勇者が呪文を囁く。
「1…」
金色の文字が円形に浮かび上がる。
「――…0」