レヴィオルストーリー3
「――…ッ!?」
女性の艶やかな唇が、カウントダウンの最後を囁いた瞬間。
いきなりグラリと景色が揺れ、移動魔法が途切れてしまった。
「今だっ!」
そう叫んだゲインに押し倒され、地面に倒れ込む。
「……っ、はなせ…!」
「なら退けてみろ」
馬乗りになり、ニヤリと笑う悪魔。
――…アレンに力が入らないことを、わかっていて言っているのか。
「お前ら…、何した…?」
息荒く睨み付けるアレンにゲインは一瞬たじろいだ。
しかしディルネと目が合い、気を取り直して勇者を見下ろす。
「俺らの使う矛…あれの先に薬物を塗った。それだけだ」
その言葉にアレンは目を見開き、歯を食いしばり更に目の前の悪魔を睨んだ。
さっきのカウントダウンは、その薬物が体に回る時間を指していたのか。
「…やり方が、せこいんだよ…!」
「それでもいい。何をしてでも捕らえろというのがあの方の命令だからな」
「…あの方?意味わかんねぇ。何のために…」
「あら?」
アレンの言葉を遮り、ディルネが何かを見つけ疑問の声を出した。
その視線の先――自分の横を見て、勇者は息を呑む。