レヴィオルストーリー3
「何かしら。あんたのポケットから出たわよね」
女性の悪魔はそう呟くと、それをじっと見つめた。
地面に転がる小さな白い箱。
アレンは慌てて力の入らない手を懸命に伸ばす。
「おっと」
それを見たゲインが意地悪く笑い、伸ばされた手を踏みつけた。
あと少しで届きそうだった手が、ピタリと止まってしまう。
「……足を退けろ。カス」
「どの立場で言ってんだ?
俺らの3分の1しか生きられない人間ごときが」
「黙れ。足を退けろ」
「嫌だね」
「…退けろ!」
怒鳴ったアレンに眉を潜め、ゲインは足を退けることなく矛を取り出した。
それを勇者の目の前に突き出し、脅すように見せびらかす。
「今度は刺されたいか?」
「…刺せるなら刺してみろ。殺しはなしなんだろ?
命令に逆らって怒られるか?」
「…………………。」
挑発するような言葉に青筋を立て、悪魔は青年をキッと睨んだ。
アレンは怯むことなく彼を見上げる。
――…強い意思を持った、碧の瞳で。