レヴィオルストーリー3
「…まぁいい。そろそろ意識が薄れる頃だろう?
その前に仕返しをしてやるよ」
アレンの目に負けたのか、ゲインは矛を消すと彼の頭に手を向けた。
意識が薄れる、とは薬物の作用なのだろうか。
厄介だな、と考えつつも確かにだんだん朦朧としてきた。
(……どうにかしないと…)
しかしどうしても力が入らない。
剣も握れないし、魔力も使えない。
――…絶体絶命とはまさにこのことだ。
(レイが…待ってるのに)
ゲインが何か囁くのを眺めながらも、アレンの頭の中はそのことでいっぱいだった。
彼女はきっと今、湖で一人待っているのだ。
「……ぅっ…」
ゲインの手から灰色の光が発せられ、アレンは激しい頭痛に苛まれた。
仕返しというわりには何だか小さい。
…本当に殺されると思っていたのだが。
「…気がすんだ?」
気を失った青年にまたがる部下の悪魔に声をかけ、ディルネは怪しく微笑んだ。
彼女を見上げた悪魔はまだ少し納得いかないようだが、その笑みに圧倒され仕方なく青年から退く。