レヴィオルストーリー3
「これで勇者は悪魔の手中ってことになったわ。早く連れ帰るわよ」
命令するディルネはこの中で一番お偉いさんらしい。
みな彼女を見つめ頷き、アレンに倒された半数以上の仲間を担いだり背負ったりする。
「小さくてもいいから、傷を一つ負わせるだったのに…。
それだけなのにそれをやるまでにこんなにたくさんやられちゃったわ。
ほんと、人間のくせに馬鹿みたいに強いわね」
ゲインが担いだ青年を見やり、ディルネは眉を潜め呟いた。
しかしそのしかめっ面もすぐに消え、艶やかなニヤリとした笑みをかわりに浮かべる。
(そんな男が悪魔のモノになったんだもの。
これで争いも父様が言うように悪魔の勝ちで終わるわ)
…そしてそうなれば、やっと念願が叶うことになる。
「…ディルネ様、あの箱はどうしますか?」
部下の一人が自分に声をかけ、女性はさっと真顔に戻った。
白い指先が指すそれ――先ほど勇者が落とした白い箱を眺め、ディルネは興味なさげに肩をすくめる。
「いらないわ。人間が大事にする物って私には理解出来ないの。
そのまま放っておきなさい」
「かしこまりました」