レヴィオルストーリー3
「ねぇ」
「なに…」
「まさか…レヴィオル国に恋人がいるとか言わないよね?」
「え?いないけど…」
「好きな人は?」
「い、いない…」
質問を重ねるラヴァネの勢いに、ミュリエルはしどろもどろになって何とか答えた。
好きな人ならたくさんいる。
だけどそれは恋愛感情ではなくて。
一瞬曖昧な色の髪の青年が頭に浮かんだが、あれは彼の整った容姿に少し酔っただけだ。
女性ならば仕方のないこと、そう考えラヴァネを見上げる。
そしてまたその表情に驚いて、彼と同じ金色の目を見開いた。
「よかったぁ…」
そう漏らしたラヴァネは、柔らかい笑顔をミュリエルに向けている。
彼の優しい慈しみの籠められた眼差しに、大天使は思わず頬を赤く染めた。
「な、何言ってるの…。ほら、ミカエル様待たせちゃ失礼よぉ」
「うん♪」
一気にご機嫌になったラヴァネは、繋いだ手をめちゃめちゃ振りながら歌い出しそうな雰囲気でスキップしだした。
コケやしないかと危惧するミュリエル。
しかしラヴァネはコケるのではなく建物の入り口で頭を打った。
悶絶する彼に溜め息をつきながらも、可笑しくなってクスクス笑う。