レヴィオルストーリー3
ラヴァネが頭を打ったのは、ミカエル様のいる教会だった。
一番でかいそれは数々の名天使達が活動場にしているところ。
いわゆる政治を行う場である。
ミュリエル達は最上階に行くため、羽を広げて地面を蹴った。
ここはエレベーターや階段は一切なく、こうやって飛んで移動するのだ。
「ミカエル様はどうして私を呼んだの?」
「さぁ。僕も内容は聞いてないよ」
「ふーん…。何だか久しぶりでドキドキしちゃう」
「僕も違う意味でドキドキしちゃうよ」
「え?」
聞き返したミュリエルに真っ赤になって何でもないと呟き、ラヴァネは握った手に少し力を籠めた。
ミュリエルは気付くことなく上を目指して飛び続けている。
やがて辿り着いた最上階で、地に足をつけ羽を納めた二人を迎えたのは、ミカエル様その人だった。
柔和な笑みを中性的な顔に浮かべ、仲睦まじい幼なじみ同士を微笑ましく見つめる。
「ラヴァネ、連れてきてくれてありがとう。君もいてくれるかな?」
「はい、ミカエル様」
男か女かわからぬ天使に返事をし、ラヴァネはぴしりと姿勢を正す。
ミュリエルも仕方なく同じように背筋を伸ばした。