レヴィオルストーリー3

「うん、勇者を助け出してほしいんだ。ミュリエル自身もその様子だとそうしたいみたいだし。

それから、助けたらここに連れてきてくれるかな」


「……えっ、ここに?」



前半の内容は理解出来るものの、後半が何かおかしい。



聞き返したミュリエルに頷き、天使の長はにこりと笑った。




「あれほどの逸材を逃すわけにはいかないよ。

悪魔のところにいるよりかはずっとましな筈さ」



その言葉に、…大天使から血の気がさあっと引いていく。



悪魔のところでアレンが何をされているのか。



――…そんなこと、考えたくもない。




しかも、この目の前の上司は――悪魔と同じことをしようとしている。




「アレンを、利用するんですか…?」


「そう。勇者だけじゃないけどね」


「そんな…私にレヴィオル国を裏切れと?」


「君は天使だろう?」



笑顔を崩さず、じっとミュリエルを見つめるミカエル。




ラヴァネは恐れおののいた表情のまま固まっている。




「わ…私は…」



自分を見る同族に恐怖を抱きながら、ミュリエルは震える小さな声を発した。



この窮地で思い出すのは、ミュリエルが相談したときに見せてくれた彼の柔らかな微笑み。







「私は…出来ません…」






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