レヴィオルストーリー3
「……そうか」
すっと目を細め、ミカエルは囁いた。
震えながらも目を逸らさないミュリエルから自分が目を逸らし、今度はラヴァネに話しかける。
「ラヴァネ、君はヴァンヌを探してほしい」
「えっ…妹を…?」
驚き呟くラヴァネにミカエルはまたも頷いた。
ラヴァネは実は、ヴァンヌの兄なのだ。
三人兄妹の一番上なくせにヘタレな彼。
「…いつまでも放っておくわけにはいかなくてね。悪魔に見つかる前に彼女とその恋人を捕まえてくれ」
「そ、そんな…」
非情な命令ばかりする上司に戸惑い、ラヴァネは後退りしてミカエルから距離を取った。
――…尊敬していたのに。
ミカエルのそばで働きたくて、ここまで頑張って来たのに。
――…その本性は、とんでもないものだった。
「…二人とも、命令が聞けないようだね」
椅子から立ち上がり言う天使を前に、ミュリエルもラヴァネも動けない。
ミカエルは二人の天使の衣類につけられた十字架のブローチを取ると、笑んだまま指を彼らの額に向けた。
「天使の特殊能力、『洗脳』。本当に便利だよね」
そんな愉しそうな声と共に、天使の長の指から黄色い光が発せられる。
それを境に、ミュリエルとラヴァネは意識を失った――…