レヴィオルストーリー3
「…だから、行方不明なんですよ。連れ去られたんだ」
混乱するシリティーを他所に、呟いたマケドニスは悔しそうに唇を噛み締めた。
状況を上手く飲み込めないシリティーは困惑顔で彼を見つめる。
『…連れ去られた?アレンが?
彼はそんな柔な人じゃないじゃありませんか』
『そうよ。一体誰がどうやってあの馬鹿強い子を連れ去れるワケ?』
いつのまにか戻って来たクナルが眉を潜めて自分の旦那に言ってやった。
後ろの医務室のベッドで死んでいる金髪を、リルが楽しそうにバシバシ叩いている。
…ていうか医務室で飲んだのか。
「形跡からすると、相当な人数に襲われたらしい。
血があったから…負傷しているみたいだ」
マケドニスのかわりにルティが答え、雨が止んだらまた調べに行くと報告をした。
側近の方はまた泣きそうな精帝を見ながら、難しい顔をしている。
『雨が止んだらって…。雨で流されちゃうじゃないの』
「森のエルフにあの場所の“時”だけ止めてもらった。だから大丈夫さ」
そう答えたルティは溜め息をつき、そんな彼を見つめシリティーもクナルもゴクリと唾を呑み込んだ。
いつもの余裕のない海賊王に、嫌でも思わされる。
――…事態は深刻なのだ、と。